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自作小説 「正義」

誰かこの手記を読んでいるだろうか。
 いるとしたら最後まで読んで欲しい。
 
 あたしの伝えたいことは奴のこと。でもまずは過去に遡って説明しなきゃ駄目だろう。
 あたしにとっての学校は地獄だった。スクールカーストが徹底していて、いじめも度々起こる。
 なのであたしは、いじめのターゲットにならないように必死で、学校は息苦しい場所だった。
 そんな中、最悪なことが起きた。あたしが遂にターゲットになってしまったのだ。理由は単純でいじめっ子の好きな子があたしを好きだったという。
 上履きを隠される、教科書に落書きされる。あたしの椅子に画鋲を置かれる、もう辛かった。
 そんな時、転校生がきた。K君という男子だった。彼が来てから状況は変わった。
 あたしがいじめっ子達に水をかけられてる時、K君がバケツに入った何かを持ってきた。そしてそれをいじめっ子達にかけた。そうバケツには泥水が入っていた。
 そしてK君は「やめないなら君たちのしてる事のもっと酷いことをするよ」と言った。
 泣きながら、立ち去っていった彼女らにK君はさらに「先生に言ったらもっと酷いことするよー?」と続けた。
 そしてK君は「大丈夫?」とあたしに手を差し伸べた。
 
 あたしは知らなかった。いじめよりもっと恐ろしいことが起こることに。

2
 K君は普段は優しい子だった。
 いじめられっ子のあたしに毎日話しかけてくれた。
 だけど、いじめっ子にやり返しを必ずするのはどうかと思った。
 でも命に関わることではないから、まだ大丈夫だと思ってた。
 この時まではね。
 
 3
 ある時、いじめっ子があたしを呼び出した。
 「あんたさぁ、Kに何か吹き込んでるの?」
 あたしは「何もしてない」と返すが、
 「あんたのせいでうちは酷い目にあってんの!どうしてくれんのよ!」とあたしを殴り始めた。
 あたしは、馬乗りにされ、殴られ続けた。すると。
 「いじめっ子は居ねぇがー!」とK君の声がした。
 するとK君は金属バットを持っていた。
 「懲りてないなぁ!いじめをすればもっと酷い目にあうって分からないの?」
 「な、何よ!」とさすがのいじめっ子も怯えている。
 「分かんないなら、この世から君を消すね?」
 "狂ってる!"
 あたしは鳥肌が立った。
 「アハははははハハハハハ!」
 連続の鈍い音とK君の狂った笑い声が響いた。
 "怖い!"
 あたしは咄嗟に走り出し、交番に向かった。
 
 4
 K君はあの後、逮捕された。
 しばらく、彼が復讐しに来るのでは無いかと怯えていたが、何とも無かったので恐怖は消えた。
 そんな事を忘れかけていたある日だった。
 「君は僕の正義を否定するんだね」とあの聞きたくなかった彼の声が聞こえ...
 ゴッ!
 あたしは鈍い痛みと共に意識を手放した。
 
 5
 これがあたしの恐怖の体験だ。
 K君は逮捕され、しばらくは刑務所から出て来れないだろうけど、今度はあたしは消される。
 なので、この手記を必死に書いている。
 あたしは問いたい。
 
 "正義とは何ですか?"

END